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じきょうやまずのうま
「自彊不息」の馬
――午年の挨拶にかえて
新年おめでとうございます。蛇年を見送って、早くも馬年を迎えました。馬は十二支において、午と書きますが、角のない牛と思えば覚えやすいです。
ところで、馬という漢字はなぜこういう風に書かれましたのか。古代、大変有名な漢字の辞書の一つに数えられた許慎の『説文解字』には、次のように解説しています、
「馬、怒也、武也。象馬頭髦尾四足之形」
最初の五文字は、馬の性格を描くものである。「怒なり、武なり」とは、馬がいつも怒って戦に出るという意味ではありません。怒=努(つとむ)、つまり、馬は大変勤勉でよく働く者であることを指しています。そして、武とは、馬の逞しさ・雄健さを形容することばです。次の九文字は、馬の文字の描き方について説明しています。つまり、馬は大きな頭をもって、しっぼに長い長い髪(=髦)に被われて、四本の足がある(=よく走る)動物であります。説文の解釈を冒頭に掲げた文字に照らし合わせてみると、これは、典型の象形文字であることがわかります。
そして、馬に対応する十二支の午は、暦法であり、一日の時刻をはかる時間の単位(=時辰)でもあります。一年を単位にして見ると、「午」は、夏の季節にあたり、日差しのもっとも長い一日になります(夏至)。その日をすぎると、陽気が降って陰気が上がり、冬の「子」という夜の時間が一番長い日が訪れます(冬至)。一日をとってみると、一時辰は現在の二時間に相当します。子時は夜の11時から1時に当たるが、午時は昼の11時から1時の間であります。このように、午という時間帯は、自然界の陰陽交替の大きな転換点に位置しています。
なお、馬は五行の方角に対応すると、金に属し西方に位置しています。歴史上の中国の西部には多くの騎馬民族が活躍しており、数々の名馬を生み出しました。かの漢武帝が求めた大宛の名馬「血汗馬」もその一例です。この馬は風の如く一日千里も走れます。染み出た汗は血の如く真っ赤なるゆえんに名付けられたと伝えられました。また、西の方角は、八卦の「乾」に当たります。乾は純粋の陽気の象徴であり、天を代表しています。易経には、乾について次のように解説しています「天行健、君子以自彊而不息」。ここに出てくる「自彊不息」(じきょうやまず)ということばは「自ら勉めて止まない」という意味で、今日に至っても人々を励ましことばとしてよく使われています。
この午年において、馬のように努めて逞しく前に進めば、必ず大きな転換期が迎えられると信じております。いつもいい加減な私ですが、これから、「自彊不息」ということばをもって皆さんと互いに励ましたいと思います。
廖赤陽
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