バリ島ウブド村気功講習会の報告

2008年1月16日
無為気功養生会 林師範

インドネシア、バリ島。
溢れるばかりの緑と花々、陽の輝き、心地よく吹き抜ける風、どこからともなく聞こえてくるガムランの響き、人々の微笑み。
いまだに残るアニミズム的土壌とバリヒンズー教の島。
観光用フレーズではないが『神々の住む島』と呼ばれるバリは独特の気に包み込まれている。
ちょっと使い古された言葉かもしれないが、癒し・・そう、ただ居るだけで癒されてしまう、そんな島なのだ。
バリに魅せられて17年。度々バリを訪れている私だが今回、初めてバリで気功の講習会を開いた。
その経過を簡単に報告します。

10月17日夕刻、バリ島、デンパサール空港着。
前回訪問してからまだ一年も経っていないというのに、なぜか懐かしくふるさとに帰ってきたような安堵感を覚える。
身体中の全細胞がすぐにバリモードにスィッチ・オン。
2日間、クタビーチでボディーボードで波と戯れ、大海原に沈む夕陽を眺めるなどしてから、バリ島のほぼ中央部にあるいつもの滞在先ウブド村に入る。

ウブドはバリの芸能、芸術の中心地。
観光客も多いが緑と水田が広がり、夜は蛍が飛び交う静かな村。
日本の5、60年前の農村の風景に近いだろうか。

 

ウブドに着いた日の夜、夕食を取ろうとぶらぶらと村の小道を歩いていると画家でありウブドではレストランのオーナーでもあるS氏の店の前に出た。
偶然にもS氏がカウンター席で食事中。(因みにバリのレストランの店構えはどこもオープン形式で外から店の内部は丸見え)
彼は横浜とウブドの半々の生活。私とは知り合い以上、友達未満といったところだろうか。
一緒に食事をしながら、『明日から気功の練習をします。もし、よろしかったら、一緒にやりませんか? 知り合いの方で興味のある方がいたら声を掛けてみてください』と言うと、二つ返事で、即、『やりたい』。
S氏は、『以前からにヨガや気功に興味をもっている友人がいるので、連絡します』と、早速、その場で何人かに電話。
『二人が来ると言っています。その人たちも他の人に連絡して、5、6人にはなると思います』とのことであった。
そして2日後の日曜日、午前11時に私のホテルに集合と決まった。

講習当日。
練習場所は私の宿泊しているホテルのプールサイド、オープンだが屋根のある休憩所にした。
練習スペースを確保するためにテーブルや椅子を移動し、クッションを用意したりしている時、私とホテルのスタッフとの会話のQigongという言葉を耳にした女性が私に話かけてきた。
話してみると、彼女はアメリカ人、20年ほど前テキサスで4年間ほど太極拳を習っていたとのこと。
気功に興味があるのでよかったら参加させてくれないか、とのこと。
勿論、OK。

練習に集まったのは計8人。
私が声をかけたS氏。彼の知り合いでウブドから車で1時間ほどの街で旅行代理店を経営するバリ人男性。ウブド郊外で5年前から客室二部屋だけのホテルを経営する日本人女性とそのホテルに宿泊している札幌の主婦。ウブド在住の日本人主婦。それにバリの伝統療法を学びに来ていて私と同じホテルに宿泊中の日本人女性二人と先のアメリカ人。
皆、気功という言葉は知っていたが体験するのは初めてだという。

「気功は中国古来の養生法。大気功と小気功。気功(法)は心身共に自然と調和させるための自己鍛錬法。形の上からは動功と静功がある。練習は体と呼吸と意識の調節をすること・・」など、気功についての概略を15分ほど話すことから始まった。
そして、『気功練習のキーワードはリラックス。最初がリラックス、そして最後もリラックス。いい加減で、ただ楽しんでやりましょう』とリラックスすることを強調して練習に入っていった。

先ずは晃海法
『きれいな水の上に浮かんでいる大きな蓮の葉に座っていて・・その葉が波の動きに合わせてゆっくりと揺れている・・座っている自分も気持ちよく揺れている・・』と、最初は動きをイメージでリードする。
すぐに皆が自分のペースでやり始めた。
10分ほどすると、誰もが気持ちよさそうにしている。

このままもう少し晃海法を続けようかなとも思ったが、体験講習としてはちょっとメニューを多くして、サワリ的に紹介するのもいいかなと思い、時間を考慮し、一指禅功の座功に入る。

静功を25分ほど行う。

小鳥たちのさえずり。花の香り。頬を撫でていく微かな風。遠くの農夫たちの声。

・・・静寂・・・

収功に入ったとき、何か名残惜しげ・・というような感じの人もいた。

次に無極薯から開合運気法を5、6分。

そして、游龍功を第一節から始める。
インド大使館でヨガを5年ほど習っているというバリ人T氏や、日本でヨガを教えているというバリ伝統療法を習いに来ている若い女性は初めてだというのにとてもスムーズな動きをする。
札幌の主婦は途中で幾度か休みながらも続ける。
第七節までやり、続いて調気法を短く行う。

その後の静功では2、3人が大理石の床の上に気持ちよさそうに仰向けに寝そべっている。

薄っすらと浮かぶ汗。

風が心地よい

いつまでもこのままで居たい・・

そんな余韻を感じながら練習は終了した。

練習後、アメリカ人と私と同じホテルの女性一人を除く6人と一緒に近くのレストランに行くことになった。
皆、明るく、浮き浮きとして、楽しげに喋り捲っていた。
会話の端々に『気持ちいい』『すっきりした』などの言葉が聞こえた。
参加者個々に体験の感想などをきちんとインタビューしてはいないのだが、
雑談の中から、耳にしたことなど・・。
『ヨガを長らくやっているが、ヨガの練習は結構ハードだ。気功はもっと気楽に出来そうだ』 (バリ人・男性)
『今、バリではヨガは流行っているけど、気功は全くない。バリで気功教室など開いたら結構人が集まるかも・・』 (ホテル経営Tさん)

『バリの人はあまりスポーツとか身体を動かすことをしないというか、あまり好きじゃないと思うんだけど、気功のような動きだとそんなに抵抗ないんじゃないかなー』 (同)

そして、ホテルオーナーのTさんから「私のホテルでも講習会を開いて欲しい」とのリクエストがあり、5日後に伺うことにした。
初めての気功講習会と楽しい食事。とてもハートフルな3時間だった。

翌日、前日の講習会に参加できなかった私の親しい友人のバリ人N君が気功を体験してみたいとのことで、私の部屋のテラスで練習することになった。
前日参加した同じホテルの日本人女性一人も加わり、先の講習会とほぼ同じメニューで1時間半ほど練習をする。

無理はするなといって言っていたのに、静功のとき、半結跏趺坐をしていた彼は途中で『タイム!足首が痛い』といって、足をさすり始めた。
動功のときも、初めてのことだからと、かなり軽めにやっていたのだが、時々、『タイム、ちょっと待って!』
昨日、ホテル経営者が、バリの人は普段あまり身体を動かさない、と、言っていたのを思い出してしまう。

練習が終わってのN君の感想。
『座っているとき、額の辺りが熱くなって変な感じがしたなー・・それにしても足が痛くなったのには参ったよ』

最初の講習会から5日後、バイクを15分ほど走らせてTさんのホテルへ向かう。
ホテルの周辺には家がなく、きれいなライステラスが目の前に広がっている静かな場所にある。

参加者はTさんと札幌からの宿泊客、私と同じホテルに宿泊している女性。
3人共前回の練習に参加した人である。
練習場所は食堂と一体となった目の前に緑の棚田が眺められる広いオープンスペース。

 

練習に入る前、札幌の主婦は「先日の練習が終わったあと、バリに来る前から具合の悪かった喉が調子よくなり、とてもうれしい」と話してくれた。

練習は前回とほぼ同じメニューで進める。

練習が終わった後、無料の気功講習会のお返しにと、Tさんが『クリスタルボールサウンドヒーリング』のセッションを30分ほどやってくれることになった。
Tさんは透明な響きのクリスタルボールを始めとして、チベッタンベルや響きの長い打楽器をいくつか並べて置いて、次々と音を重ねながら即興的に演奏していく。
私たちは床に仰向けになり目を閉じてただそれを聞いているだけ・・

玄妙、幽玄な音の連なり。
瞑想的な時空間。
自発動が起こる。

講習会後日譚
旅行代理店の社長、バリ人のTさんが無料講習会のお礼に「豪華ランチ付きブサキ寺院半日ツアー」に招待したいと連絡が入る。
ただし・・これにはTさんの会社で今度正式採用するかどうか思案しているバリ人の日本語ガイドのチェック役をして欲しいとの交換条件つきなのだが・・
つまり、私が覆面審査員(?)となって私たちを案内するバリ人ガイドの日本語とそのガイド能力についての意見を聞かせて欲しいと言うもの。
ブサキ寺院はバリヒンズー教の総本山。バリの人誰もが崇めるアグン山の麓、風水的に見ても気場の良い地勢にある。
とても気持ちの良くなる所であり、バリ観光の目玉的存在でもある。
以前にも何度か行ったことはあるが・・久しぶりなので・・行ってみることにした。

日本に戻って、一週間後。
ホテルオーナーのTさんからメールが入る。
『こんにちは。ウブドで気功を教えていただいたTです。
その節は貴重な時間をありがとうございました。
その後も自分なりに覚えている形を実践しています。
11月の終わりに姉が渡バリする時にDVDの本を購入してきてもらおうと思っています。  
(中略)
また、バリに来る際にはご連絡下さい。
一緒に気功をしましょう』

次回、バリを訪ねたときは気功の輪が少し広がっているのかな?
また、あのやさしいバリの気に包まれて皆んなと一緒に気功を楽しもうと思う。

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